カメラマンのお仕事、2年目のはなし③

みなさんは
自分が支払う色々なサービスに対する対価の、
その内訳はどうなっているのか、考えたことはあるだろうか?

例えば、
個人の美容室で髪を切って、5,000円支払うとする。
そのうち、1,000円分が経費(家賃や水道光熱費など)だったとしたら、
実際に、美容師さんが髪を切った事で得られる対価は
5,000円-1,000円=4,000円である。
ここでもうひとつ、
その4,000円を1時間で稼げば、時給4,000円だし
2時間かかったとしたら、時給2,000円である。
この場合、美容師さんの技量によって、自分の価値を定めることが出来る。

次に、これが
個人の美容室ではなく、「会社」であった場合はどうだろう?

同じく、5,000円の支払いと1,000円分の経費がかかったとして、
美容師さんの時給が1,000円だとしたら、
1時間で仕上げる美容師さんAは、1時間で1,000円を得るし
2時間で仕上げる美容師さんBは、2時間で2,000円を得る。
しかしながら、1時間で仕上げる美容師さんAは
終わればまた次のお客様に対応していて、
結局は1時間で1,000円貰うのだから、
同じ2時間の間に
Aさんは 5,000円×2人-経費1,000円×2人分-時給1,000円×2時間=6,000円
Bさんは 5,000円×1人-経費1,000円×1人分-時給1,000円×2時間=2,000円

さて、この式の最後に残った「金額」は、一体「何」なのか。

これがまず、ピンと来ない人は
一生涯誰かに雇われていたほうが、安心である。
でも、もしもピンとこなくても
それだって正解だし、別に悪い事ではない。

そして
もしも、私が美容師Aだとしたら…

私はこの根拠をもって、「時給をあげてください」と言うだろう。
しかも大まかに時給をあげて。ではなく、
時給2,000円にしてくれ。と言うことすらできる。
それでも会社にメリットはありますよね?と。

そして、
もしも私が、その「会社」の経営者だとしたら…

黙ってAさんを働かせ続けるのか、
Aさんの時給を2,000円にするのか、
もしくは、
Aさんの時給はそのままに、住むための家を無償で提供するのか…
それは、また、別の話になりそうである。
そろそろ「カメラマン登録サイト」について、話を戻そう。

では、カメラマン登録サイトの仕組みはどうだろう?

登録は無料。
サイトを介して仕事の依頼が来た場合、
フォトグラファーさんにお支払いする報酬は8割です。

登録の内容として
割合は各社違うが
大雑把にこんな感じである。

10,000円の依頼であれば、8,000円貰える訳だが
残り2割の「諸経費」と思われる2,000円は、では、一体「何」なんだろうか。

私はそこに大いに引っかかってしまった。

この2,000円って
本当に支払わなければならないお金なんだろうか。と。

そもそも、カメラ機材は高額である。
何十万もする機材を使い
それもしっかりと消耗品である。
撮影の時間だけでなく、編集にも時間がかかるし
機材も重く、
現場は結構な肉体労働であり
それでいて、編集はじっと座って
何時間もパソコンに向かい続けなくてはならない。

そのサービスに対する対価のうちの、2割を
みんな「誰」に支払っていて、一体「誰」が受け取っているのか。

もちろん、支払っているのは「お客様」だが
受け取っているのは、その「サービスを考えて、システムを作った人」である。
カメラマンが一生懸命に仕事をすればするだけ
お客様がカメラマンにお仕事を頼めば頼んだだけ
現場では何もしていない人が儲かるのである。

前例の美容室も然り。
あの計算式の最後の答えは「会社に残るお金」である。
しかしながら、美容室であれば、その「会社に残るお金」によって
施術者がより高度な技術を習得する糧になったり、
雇われている人の福利厚生に使われたり、
新しい機械の導入費用になったりと、そこに関わる人の為に消費される可能性は大いにある。

だが。
カメラマン登録サイトでは、そうはいかない。
その2割で、登録カメラマンの新規機材購入補助になる訳でもなければ
福利厚生に充てられる訳でもなく
技術向上のためのスキルアップ講座なんて開催される訳でもなく
ただただ、手数料として搾取されるのである。

たしかに「カメラマンの育成」に力を入れているサイトもあるにはある。
しかしながら、撮影料の報酬は5割。
それでは、カメラマンとして「ごはんが食べられないカメラマン」を量産するだけである。
写真の上手な若者を量産し、コミュニティを広げて、楽しいカメラライフを送ろう!
決して悪くないし、素敵な事だと思うが、
自分たちで自分たちの首を絞めあうような関係は、私には無理だと思った。

 

では、
カメラマンの目線ばかり話して来たが、
いざ、自分が「お客様」だとしたらどう思うんだろう。

次はそんな話をしてみようと思う。

 

つづく

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