そもそもも、そも、四方山話⑤

さて、少し時を遡って、
私に訪れた、ある出会いの、少し前の話。

当時の私は、トマトの栽培をしていた。
それは家庭菜園レベルのそれではなく、つまるところ農業としてのそれである。

毎日、栽培ハウスに着く手前、500mくらいの砂利道を軽自動車で通勤するのだが
これがとてつもなく味気ない。
もうちょっと楽しく通勤出来たらいいのに…と何の気なしに考えていたのだが
ある日突然に、欲しい車を思いついた。

昔、ガソリンスタンドで仕事をしていた時
たまに給油にくる、カッコよくて大好きな車があった。
そんな車に自分が乗ろうとは思ってもみなかったけど
なぜか、無償に欲しくなって、調べてみたら「ラングラー」という車だとわかった。

何年も前の記憶だったけど
十数年ぶりに見たラングラーはやっぱりカッコ良くて、好きだと思った。
まさかのそんな車を500mの砂利道の為に欲しいという嫁に
さすがの夫も驚いていたけれど、人生で一回くらい外車に乗ってみたかったんだよね~と
なぜか話がとんとん拍子に進んで、晴れて私は憧れだったラングラーで通勤することとなった。

ラングラーとの日々で
自分が心から好きと思うこと、その好きと暮らせること、
それがどれ程に大切なことなのか、少しつづ、だんだんと、自分でもわかってきた。

逆にいえば
今までの自分が、どれだけ自分の感覚に蓋をしてきたのかも、
そうして、普通とか、当たり前とか、
そんな曖昧な安心に、縛られていたのかも、実感した。

私は、もっと自由で良い。
そんな感覚になれたことは、本当に幸せなことだと思う。

それとカメラの話と
一体何が関係あるのか、と思うだろうが、
JEEPで毎年行われている、オーナー限定のフォトコンテストがある。
それに、興味本位で、娘とラングラーの写真を出してみたのだが
これが優秀賞を受賞することとなったのだ。
私にとっては、人生で初めて、自分の写真が評価された瞬間だった。
東京から取材クルーが来て、JEEPの紙面で紹介されて、
今まで経験したことのない世界は、とても楽しかった。

今まで、自分の撮った写真をコンテストなどには出したこともなかったが
その後も何となく勢いづいて、色々なコンテストに出してみた。
そんなに大きなコンテストではなかったが、最優秀賞、入賞、優秀賞…など
賞を頂ける機会が、とんとんと増えていった。

自分の写真が、評価される。

とても不思議な感覚だったが、
ずっと自己流でやってきた私にとって、
第三者の評価は素直に嬉しかったし、簡単に言えば、自信になっていったんだろう。

そんな日々の暮らしで
ついに私は「女性カメラマン」と出会うことになる。

たまたまに夫の知人だったその女性が「カメラマン」だという事を
私は後から知ることになるのだが
まさか、カメラマンという職業の人が、しかも女性が、この世に存在しているなんて
しかも、出張撮影で赤ちゃんを撮っているなんて
いや、その頃はまだそういう存在は少なかったんだろうけれど
当時の私は思ってもみたことがなくて、とにかくとにかく、何かとても大きな衝撃を受けた。

すぐに会いたいと伝え、機会を作ってもらった。
純粋に、どうやってお仕事をしているのかを知りたくて仕方なかった。
その方は、とある協会で指導を受け、資格をとり、協会員として活動されている方だったが、
調べれば調べるほど、カメラマンとひとくちで言っても、様々な協会の多種多様な資格がある事がわかった。

…でも

資格がないとダメなのかな?と思う自分がいて
私は別に、サークル活動のような事がしたい訳でもなくて
そもそもカメラマンになりたい訳ではない気がして
自分には何がしっくりくるのか、まだわからない日々が続いていた。
(だって、我が子がかわいく撮れれば、満足だもーん。とな。)

つづく

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