カメラマンのお仕事、2年目のはなし①

15,000円

 

これが、
8,000円の私が
次に提示した「私の価値」である。

もう記憶が定かではないが、
たぶん、カメラマンとしてのお仕事も、2年目に突入するかしないか…
そのくらいの時期だったのではないだろうか。

もう、根拠すら曖昧で
なんやかんや支払っても、10,000円残りそうな、そこそこキリのいい額。
8,000円時点では、5,000円残る計算だったので
まぁ、単純に「倍」くらい手元に残れば
まだしばらくは頑張れそうである。

なんて精神論を言いつつも
あくまで私は、某市役所元税務職員である。
そろそろに、確定申告なんかもチラチラと脳裏をかすめつつ
限界点を探れるのは、完全にメリットだった。

やはり人生は点ではなく、線なのだ。

そんな事を思いながら
これから私は、どうなっていくんだろう…
そんな漠然とした
不安にも似た感情が湧いてくるようになった。

あれ? 私、どうしたいんだろう…と。

当たり前と言えば、当たり前である。
そもそも、カメラマンになりたかった訳でもなんでもないのだ。
新しいパソコンが欲しかっただけである。

そんな日々
私が唐突に「写真でどうなりたい?」とあんさんに聞いたことがあった。

あんさんは即座に「有名になりたい!」と笑顔で答えたのだが
それが私には衝撃だった。

有名になんてなりたくない。
表舞台に立って、多くの人に認められたい!なんて感情を
私はこのかた持った事がない。
出来れば、自分の好きな事だけをとことん好きになって
自分の両手に収まるくらいの範囲で
私のことを必要としてくれる人に、私が届けばそれで良い。
そもそも、そんなに人間好きではないし、
人に会う事をストレスに感じるような奴である。
根っからの社交性は持ち合わせていないのだ。

だのに。

私はとんでもない人に声を掛けてしまった。
私の正反対、「有名になりたい」と即座に口に出来る人が
まさかのこの世に。というか、私の目の前に存在している不思議。
もう、面白くて、笑いが止まらなかった。

でも
巡り会わせとは、そういう物である。

結果として、「有名になりたい!」と言う人に
私が声を掛けたのだ。
ある程度の責任は取らなくては…と思った。

動機なんてものは何でも良いんだと思う。
現に、私は私自身で自分の存在価値を計れないのである。
「誰か」の声に「応える」
そんな存在の仕方も、「私」なのだ。

逆に言えば、私1人なら、平気で立ち止まってしまうということ。

だから、こうして終着もわからない壮大な「目標」を
平気で口に出来る人が、私に寄り添ってくれるのだ。

余談だが
家に帰ってから
「今日ね、あんさんが、有名になりたい!って言ってさ~」と
旦那さんに話したところ

『え?みなは有名になりたくないの?!』
『やるからには、有名になりたいもんじゃないの?』
『俺は全然有名になりたいけどな~』

と、即座に返ってきた。
あぁ、いや
もしかしたらと思ってはいたのだが…

やはり、人と人は凸と凹。
うまく出会っては、パズルのようにピースが埋まっていく
そんな仕組みになっているようである(笑)

 

つづく。

 

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